2012年の本屋大賞第1位!
2013年に映画化!
さらには、2016年にアニメ化!!
やや古くはありますが、 話題性たっぷりの作品 なので、読んだことはなくともタイトルに聞き覚えがある方も多いかと思います(すでに10年以上前の作品であることに、ひそかに驚いていますが……)
「辞書」 をテーマにした作品です。
果てしない言葉の「大海原」を渡るために不可欠な 「舟」のような存在 、それが辞書。ふだんなかなか意識することがありませんが、辞書編纂には 膨大な時間と労力 が費やされています。「舟を編む」は、そんな辞書編纂の仕事に携わるあらゆる人々の姿を鮮やかに、そしてリアルに描いた作品です。
「辞書」というと一見、無機質な存在に感じるかもしれませんが、そこには 人々の熱い想い が詰まっています。この作品を読めば、辞書に対する見方が180度変わるはずです!
個人的に一番好きなのは、冒頭の 「右」の説明の場面 です。
主人公の馬締(まじめ)は、辞書編集部の荒木から 「右」という言葉の説明をするように言われます。
……皆さんだったら、何て答えますか?
「右」という言葉自体は決して難しいものではありません。でも、いざ考えてみると実は簡単でないことがわかります。
「左の反対、という説明ではダメなの?」 と考える方もいるかもしれません。でも、それでは「左」の説明はどうなるのでしょうか?「左は右の反対だよ」と説明しても、結局「右」の意味がわからなければ、きちんと説明したことになりません。
それでは、主人公の馬締はどのように答えたのか……?
ぜひ実際に本を読んで確かめてみてください!実に シンプルで美しい表現 になっています。
もしかして「そんなの無理!待てない!」という方もいますか?笑
そんな方はお手持ちの辞書で 実際に「右」という語を調べてみてください。 実は説明の仕方は一通りではなく、辞書によってさまざまなんです。また、辞書に掲載されている方法以外でも「右」を説明することができます。
実は以前、中学生の国語クラスで同様の課題を扱ったことがあります。自分で辞書をつくるとしたら、言葉をどのように説明するか、というものです。「右」をはじめとして様々な語でチャレンジしましたが、実にユニークで痛快な名作(迷作?)がたくさん生まれました!
たまにはこうして 「言葉」で「遊ぶ」 のも楽しいですね。
「自分だったらどうするだろう?」 という観点で楽しむのもまた読書の醍醐味です。ぜひ辞書編纂のために奮闘する登場人物たちの目線で、物語を楽しんでみてください。辞書編纂にまつわる人々が織りなす、豊かな人間ドラマも見どころです!
川口