「自信」を持つ

　先日、何気なくにJリーグの試合を見ていると、J3のヴァンラーレ八戸というチームにどこかで聞いたことある名前を耳にしました。記憶を辿るとなんと以前勤めていた塾の教え子だったのです。それだけで非常に嬉しくなると同時に、彼と同じ夢を持っていた自分にとって羨ましい気持ちと尊敬する気持ちで一言では言い表せない感情になりました。しかしながら、こうして教え子が努力し自分の夢を叶え、そして誰かの憧れの存在になり勇気や希望を与えている存在になってくれていることは非常に誇らしく、この仕事をやっていてよかったと心底思える出来事の１つです。

　もう１0年以上前のことですが、私が初めて塾で働き始めたときに彼が入塾してきました。最初の印象としては、普通の中学生で、勉強に対してもどちらかと言えばやりたくない様子でした。しかし、彼と接していくうちに今やらなくてはならないことはしっかりとやり、自分で決めたことはしっかりとやり遂げる生徒で、私はとても芯の強い子だなと感じました。中学卒業後もいい事ばかりではなかったはずです。しかし、自分の夢に向かって一生懸命努力し、決してあきらめなかったからこそ叶えられたんだと思います。実際、プロになってからも５年間所属したチームから戦力外通告を受け、今シーズンからヴァンラーレ八戸に移籍していました。ようやくプロになることができ、主力として活躍した中での戦力外通告は我々では想像もつかないくらい辛い出来事だったはずです。しかし、彼はあきらめず自分を信じ続け、今年もプロの舞台でプレーしています。そんな彼の雄姿をみて私も勇気をもらいました。当時、中学生の彼に私は「挫けそうなときや不安なときに、信じられるのは自分だけ。しっか自信を持てるかどうかは自分がどれだけ頑張ってきたかで変わる。」と伝えたことがあります。彼がその言葉を覚えているかどうかはわかりませんが、彼のプレーから自信を持てるだけの努力をし、苦しいことも自分を信じて乗り越えてきてくれたということがすごく伝わり、微力ながら彼の人生の１ページに協力できたことを非常に嬉しく思いました。

　みなさんも、大きな舞台で緊張したり不安になったことがあると思います。そこで「自信」を持てる人は自分を信じることができるだけの努力をした人です。逆に、努力が足りなかったり、いい加減にやってきたりした人は「不安」になります。「自分を信じる」ということは簡単そうで難しいものです。この仕事を始めた頃から、私は生徒一人一人に辛い時や苦しい時に自分の支えとなる「自信」を持って欲しいと思って今日まで過ごしてきました。

　現在、KOMABAジャカルタ校に通ってくれている生徒達にも、Jリーガーになった彼のように、長い人生を「自信」を持って逞しく生きていって欲しいと切に願っています。そして、何年後かに活躍している姿を見ることができたらこの上ない喜びです。

KOMABAジャカルタ校

長津