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塾生通信「羅針盤」2022年8月号より

KOMABAジャカルタ校教室長より

 

インター生の皆さんはすでに夏休みに入っていますね。日本人学校生はあと数日です。中学生は期末試験も終わり一息といったところでしょうか。

 

毎年この時期は、学習に対するモチベーションが下がってしまいがちです。

しかし1~2か月に渡る長期休暇をどのように過ごすかで、今後の学習は大きく変わります。苦手単元の復習はもちろん、得意なことは更に伸ばせるように。

普段なかなか手の回らない学習をおこなう良い機会でもあります。

 

 

「効率の良い勉強方法」はないだろうかというは、皆さん一度は考えるでしょうか。

学習の順序やノートの取り方を工夫することで、無駄な時間を省略できるというのは確かにあるかもしれません。しかし「学問に王道なし」という言葉の通り、楽をしてテストの点数を上げる方法はおそらくありません。(ちなみにこの言葉、古代ギリシャの時代からある格言らしいです。人類みな同じことを考えるようです)

 

 

数学を教えていると「これが将来、何の役にたつの?」と言われることがあります。

「これ自体は役に立たなくても、勉強することが役に立つよ」と私はよく答えています。私の力不足か説明不足なのか、なかなか子どもたちには「勉強することが役に立つ」という感覚が伝わりません。

 

太宰治が「正義と微笑」という著書の中で以下のように書いています。
1942年6月に初版が発行されているので、ちょうど80年前の文章です。

 

 

勉強というものは、いいものだ。代数や幾何の勉強が、学校を卒業してしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。植物でも、動物でも、物理でも化学でも、時間のゆるす限り勉強して置かなければならん。

日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。何も自分の知識を誇る必要はない。勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。

カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記している事でなくて、心を広く持つという事なんだ。つまり、愛するという事を知る事だ。

学生時代に不勉強だった人は、社会に出てからも、かならずむごいエゴイストだ。学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。

勉強しなければいかん。そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。

ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!

 

「勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っている」

まさに私の教育観、そしてKOMABAの教育方針を詩的な表現でまとめてくれています。

 

 

現在の受験制度では、どうしてもテストの点数で判断されることが多いので、テストのための勉強というのは少なからず必要です。そして「塾」として、皆さんの成績を上げることが、私の仕事です。

 

しかし、何よりも大切にしたいことは、「何のために勉強をするのか」という動機を生徒一人ひとりに持ってもらうことです。受動的な学習になりがちな現代だからこそ、意識をしていきたいことです。